業界の意見
2026年9月24日
二重データ入力の終焉:ネイティブAIがEHR/EMRデータ取り込みのルールを書き換える
臨床試験の実施医療機関で働くコーディネーターに、日々の業務の中で最も負担に感じる作業は何かと尋ねると、返ってくる答えはほぼ決まっています。それは、二重データ入力です。
長年にわたり、この業界では非効率とわかっていながらも、この二重の作業が当たり前として受け入れられてきました。患者が来院すると、その病歴やバイタルサインはまず病院の電子カルテ(EMR/EHR)システムに記録されます。その後、コーディネーターは同じ情報を項目ごとに、電子データ収集(EDC)システムへ手作業で転記しなければなりません。この作業は、画面を見続けることによる疲労を招き、貴重な事務作業の時間を奪うだけでなく、転記ミスのリスクを常につきまとわせます。
業界データによると、臨床試験データの半数以上が研究用データベースと病院記録の間で重複して存在しているとされており、こうした現状はすでに見直しの時期を迎えていると言えるでしょう。
もし解決策が、実施医療機関の業務のやり方を変えさせることではなく、EDCの支援の仕方そのものを変えることにあるとしたらどうでしょうか。これこ そが、CRScubeが打ち出す最新のソリューションの根底にある考え方です。当社の主力EDCソリューションであるcubeCDMSに、AIを活用したEMR/EHRデータ取り込み機能をネイティブに組み込みました。シームレスかつ自動化されたeSource(電子カルテ等の情報源から直接データを取り込む仕組み)として機能するこの機能により、実施医療機関は画面上に表示されている既存の患者記録を、その場で即座に取り込むことができます。
データ入力の起点でデータ重複という根本原因に対処することで、実施医療機関はタイムラインを短縮し、最も重要な患者対応にエネルギーを注ぐことができるようになります。
数字で見る臨床試験:即時取り込みがもたらすインパクト
手作業による転記を自動化されたeSourceデータ取り込みに置き換えると、試験の運用指標は劇的に変化します。この効率化の波及効果は、臨床試験の運営およびデータマネジメントのあらゆる階層で実感されます。
1. 実施医療機関にとって:取り戻される時間
有害事象や広範な臨床検査パネルといった複雑な項目の手作業による転記は、従来、コーディネーターの1日のかなりの時間を占めてきました。画面上でのAI取り込みを活用することで、被験者1人あたりのデータ記録に要する時間は、平均5分から10分だったものが2分未満にまで短縮されます。
これにより、実施医療機関スタッフのデータ入力負担は実質50%以上削減され、これまで事務作業に費やされていた時間が、患者への直接的なケアに充てられる時間へと変わります。
2. CRAおよびデータマネージャーにとって:クエリの大幅な減少
手作業によるデータ入力には本質的な限界があり、入力ミスや数字の転記違い、日付のずれなどが原因で、多数のクエリが発生し、コストを押し上げる要因となってきました。実際、こうした不整合の解消やデータ重複の確認作業には、試験全体の運営予算の最大20%が費やされてきたとされています。ソースとなる記録から直接データ取り込みを自動化することで、項目レベルの転記ミスは最大99%削減されます。
これにより、CRA(クリニカルリサーチアソシエイト)やデータマネージャーは、日常的な事務的不整合への対応から解放され、本質的なデータ異常や、より高次の試験の整合性確保に注力できるようになります。
3. 治験依頼者にとって:これまでにないリアルタイムの可視性
データ入力の遅延は、医薬品開発における根強いボトルネックの一つです。実施医療機関が二重データ入力に追われている場合、患者来院の記録が2週間から4週間遅れることもあり、治験依頼者が得られる可視性は限られたものになってしまいます。cubeCDMSはデータ取り込みのプロセスを負担なく、瞬時に完了させるため、実施医療機関では日常的に、来院当日中のタイムリーなデータ入力が実現しています。
治験依頼者は試験の進捗を即座かつ正確に把握できるようになり、データクリーニングのサイクルが大幅に加速し、最終的にはデータベースロックまでの期間短縮につながります。
複雑なシステム連携より、実践的なイノベーションを
これまで、こうしたeSource のワークフローを実現するには、EHRソフトウェアに組み込まれたサードパーティ製システムに頼るのが一般的でした。その狙い自体は評価できるものの、こうしたソリューションはリアルタイムでのデータ取り込みを保証するものではなく、試験ごとに時間のかかるデータマッピング作業を必要とします。その結果、治験依頼者にとっては、大幅なセットアップの遅延や高額なライセンス費用につながりかねません。
CRScubeは、現場ごとのシンプルさを最優先する道を選びました。自社開発のソリューションでは、AI機能をcubeCDMSに直接組み込んでいます。ユーザーが操作しているセキュアな画面から直接データを読み取り取り込むことで、複雑なシステムセットアップの必要性を排除しました。このアーキテクチャは軽量で、治験依頼者にとって完全に透明性が高く、追加費用なく統合されています。
病院のインフラを当社に合わせて変えてもらうのではなく、当社の技術を実施医療機関の既存環境に合わせて適応させました。
臨床ITの次のステージへ
臨床試験における真のイノベーションは、システムの複雑さを何層にも積み重ねることを意味するわ けではありません。患者記録とEDCの間の経路を効率化することで、CRScubeは、何十年にもわたり臨床研究のスピードを妨げてきた二重データ入力というボトルネックを解消します。その結果として実現するのは、実施医療機関にとってもCRAにとっても治験依頼者にとっても、よりクリーンで、より迅速で、より働きがいのあるエコシステムです。
cubeCDMSにおけるこのネイティブAI機能の展開を今後も進めていく中で、私たちの目標は一貫しています。それは、データ品質を守り、試験予算を最適化し、そして実施医療機関に最も価値ある資産、すなわち時間を取り戻していただくことです。
参考文献
Society for Clinical Data Management (SCDM). The Evolution of eSource in Clinical Trials and Its Impact on Data Quality.
Tufts Center for the Study of Drug Development (CSDD). Assessments on Source Data Duplication and Query Resolution Costs in Global Clinical Trials.
CenterWatch. Analysis of Site Coordinator Time Allocation and Administrative Burdens.


よくあるご質問(Q&A)




